幾何公差の基礎

幾何公差の定義と目的

幾何公差(Geometric Dimensioning and Tolerancing, GD&T)は、機械部品の形状、サイズ、相対的な位置関係を規定するための方法論です。

これにより、部品の設計や製造プロセスでのばらつきを管理し、最終製品の性能や品質を確保します。

 

幾何公差の構成要素

  1. 基本寸法(Basic Dimension): 寸法の理想的な値を示します。この値は公差に影響を与えず、特定の形状や位置の基準となります。
  2. 公差(Tolerance): 基本寸法に対して許容される変動の範囲を示します。これにより、製造時の誤差を受け入れつつ、必要な性能を維持します。
  3. 基準(Datum): 部品の位置や形状を基にする基準点や基準面です。基準は、測定や製造の基準となるため、非常に重要です。

 

幾何公差の種類

1.形状公差

真直度: 線がどれだけ真っ直ぐであるかを示す。
真円度: 円形の部品がどれだけ理想的な円に近いかを示す。
平面度: 面がどれだけ真平面であるかを示す。
円筒度:円筒がどれだけ正確な円筒であるかを示す。
線輪郭度/面輪郭度:どれだけ正確な輪郭であるかを示す。

2.姿勢公差

平行度: 二つの要素の関係がどれだけ平行であるかを示す。
直角度:二つの要素の関係がどれだけ直角であるかを示す。
傾斜度:二つの要素の関係がどれだけ正確に傾いているかを示す。

3.位置公差

位置度: 指定された位置にどれだけ一致しているかを示す。
同芯度/同軸度: 中心がどれだけ一致しているかを示す。
対称度:どれだけ正確に対称であるかを示す

4.振れ公差

円周振れ/全振れ: 基準軸で回転した時にどれだけ変位しているかを示す。

 

幾何公差の利点

  • コミュニケーションの明確化: 設計図に幾何公差を明示することで、製造者や検査者との間での誤解を減らします。
  • 製造の効率化: 公差を適切に設定することで、製造プロセスが柔軟になり、生産性を向上させることができます。
  • 品質管理の強化: 幾何公差を使用することで、製品が設計仕様を満たすかどうかを容易に評価でき、品質の一貫性を保てます。