平面度 vs 平行度

はじめに

平面度と平行度は、どちらも幾何公差の一種で、物体の形状や相対的な位置関係を評価する際に用いられます。ただし、それぞれ意味が異なります。以下で詳しく説明します。


おさらい

平面度 (Flatness)

定義

平面度は、対象となる面がどれだけ完全な平面に近いかを評価する公差です。

    • 測定対象:1つの面の形状
    • 基準:理想的な平面
    • 許容範囲:2つの平行な平面で挟まれた領域(公差帯)

イメージ

    • 面全体が凹凸やねじれがなく、理想的な平面内に収まることを求める。
    • 例えば、板状の部品の表面が曲がったり波打ったりしていないかを確認する際に使います。

測定方法の例

    • 3D測定器やマイクロメーターを用いて測定。
    • 光学的な干渉計や接触式プローブを使うこともあります。

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平行度 (Parallelism)

定義

平行度は、対象となる面や線が別の基準面(または基準線)に対してどれだけ平行であるかを評価する公差です。

    • 測定対象:面または線と基準面(または基準線)との相対的な位置関係
    • 基準:基準面(または基準線)
    • 許容範囲:基準面(または基準線)に平行な2つの平面で挟まれた領域(公差帯)

イメージ

    • 2つの面が一定の間隔を保ちながら平行であることを求める。
    • 例えば、シャフトと穴の軸が平行であるか、2つの板の間隔が一定かを確認する際に使います。

測定方法の例

    • 基準面に対してダイヤルゲージや3D測定器を使用して評価。
    • 一般的に、基準面が必要であるため平面度よりも測定が複雑。

違いを比較表で整理

項目

平面度

平行度

測定対象 単一の面の形状 面または線と基準面(または線)の位置関係
基準 理想的な平面 基準面(または線)
用途 凹凸やねじれの評価 平行性の評価
公差域 平行な2つの平面 基準面に平行な2つの平面
部品表面の歪みの評価 シャフトと穴の軸の平行性評価

応用例

  1. 平面度が重要な場合
  • 精密な加工が必要な部品の接触面(例:光学機器の部品)。
  1. 平行度が重要な場合
  • シャフトやガイドレールなど、動作中に正確な位置関係が求められる部品。

さいごに

違いを理解することで、設計や検査時に適切な公差を設定できます。