量産部位検査のための最適な環境づくり
さいしょに
量産部位の品質検査は製品の精度と信頼性を確保するための重要なプロセスです。そのため、検査環境を適切に整備することが欠かせません。本コラムでは、恒温ブースの設置、照度、重量物対応設備についてのポイントをご紹介します。
恒温ブースの設置時の注意点
部品の寸法精度や形状を正確に測定するには、温度変化を最小限に抑える必要があります。恒温ブースを設置する際には以下を考慮しましょう:
- 温度と湿度の管理
温度変化による部品の収縮や膨張を防ぐため、ブース内の温度を20±1℃程度に維持するのが理想です。
湿度も40~60%の範囲で安 定させる必要があります。
- 断熱材の選定
外部からの温度影響を防ぐため、断熱材は熱伝導率の低い高性能なものを使用します。
ブースの壁材には断熱性能と耐久性を兼ね備えたパネルを選びましょう。
- 空調と換気
恒温環境を維持するには、空調設備の精度が重要です。
また、作業環境の快適性を確保するため、適切な換気システムも設置します。
照度の基準と重要性
精密な目視検査を行うには、十分な照度が必要です。弊社では1500lx以上を基準に設定しており、目視での欠陥や不具合の見逃しを防止しています。照度が不十分だと、作業者の疲労が増し、検査精度が低下するリスクがあります。
照度向上のためのポイント
- LED照明の採用
高照度かつ均一な光を提供するLED照明を天井や検査台に設置します。
- 影の発生を防ぐ配置
作業面全体を均等に照らす配置を設計し、影が発生しないようにします。
- 光の色温度
自然光に近い5000~6500Kの色温度が最適です。
重量物を扱うための設備
量産部位の中には重量物も含まれることがあるため、これに対応する設備の導入が必要です。
- 天井クレーン
天井に取り付けるタイプのクレーンは、スペースを効率的に使えるだけでなく、安全性も向上します。
- リフティングプラットフォーム
作業台と組み合わせて使用できる昇降式プラットフォームは、重量物を安全に扱う際に便利です。
- エルゴノミクスの配慮
作業者の負担を軽減するため、機械操作を補助するアームやクッション性の高いマットを活用します。
さいごに
適切な環境整備は検査精度の向上と作業者の安全性向上に直結します。
恒温ブース、照明、重量物対応設備を整えることで、品質管理の信頼性をさらに高めることができるでしょう。
画像に示したのは、理想的な検査環境の一例です。
このような設備と環境を整えることで、製品の信頼性と生産性を同時に高めることが可能です。