三次元測定機(CMM)による車の部品測定:精密性と効率の両立を目指して!!

自動車部品の製造において、品質と安全性の向上は常に課題とされています。その解決手段のひとつとして、三次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)を用いた精密測定が注目されています。CMMは部品の寸法をミクロン単位で測定できるため、車の部品全体の精度管理に非常に適しており、エンジン、トランスミッション、シャーシ部品などの複雑で高精度が求められる部品に多く用いられています。

ここでは、CMMによる測定の特徴と利点、そして具体的な測定の流れについて詳しく解説します。


CMMを用いる利点

CMMを用いることで、車の部品に求められる高精度な寸法管理が可能になります。以下はその具体的な利点です:

**高精度な測定**:

CMMはタッチプローブを用いて測定するため、非常に高い精度で寸法を取得できます。部品の形状や角度、直径、距離などをミクロン単位で測定し、部品の加工誤差を細かくチェックできます。

**複雑な形状の測定**:

CMMは三次元座標を取得するため、エンジンのピストン、バルブ、カムシャフトのような複雑な形状の部品でも、効率的かつ正確に測定が可能です。

**自動化による測定効率の向上**:

プログラムを設定すれば自動で測定を行うことができるため、測定の効率が大幅に向上します。また、同一の測定条件で多くの部品を繰り返し測定できるため、ばらつきのないデータが得られます。


CMMを用いた具体的な測定プロセス

CMMによる車の部品の測定は、準備からデータ分析までいくつかのステップに分かれています。ここでは、例えばエンジンのシリンダーブロックを測定するケースを想定して、そのプロセスを詳しく見ていきましょう。

**測定プログラムの作成** 

シリンダーブロックの図面データ(CADデータ)をもとに、CMMの測定プログラムを作成します。測定したい箇所や測定順序、使用するプローブの種類をプログラムに設定することで、手動での測定を行わなくても、自動で部品の全箇所を効率よく測定できるようにします。

**部品の固定** 

シリンダーブロックをCMMの測定台に固定します。この固定が非常に重要で、部品がずれると測定結果に誤差が生じるため、精密な治具を用いてしっかりと位置合わせを行います。固定後、治具の位置が適切か、目視やレーザーでの確認を行うこともあります。

**測定開始** 

測定プログラムを実行し、CMMのプローブがシリンダーブロックの指定されたポイントを順に測定していきます。例えば、シリンダー内径、ボルト穴の位置や直径、各部の厚みなど、規定の寸法を順番に測定していきます。CMMは高精度のタッチプローブを用いるため、部品表面をなぞるようにしてポイントの三次元座標を取得し、寸法や形状を測定します。

**測定データの取得と分析** 

測定が終了すると、CMMは取得した座標データをもとに寸法や角度などの情報を計算します。得られたデータはCADデータと比較され、規定値とどの程度差があるか、製品が基準範囲内に収まっているかを確認します。このデータは、後に製品のトレーサビリティとしても役立ち、製造過程での品質記録として保存されます。

**データのフィードバック** 

測定結果をもとに、製造ラインへのフィードバックが行われます。もし測定したシリンダーブロックに微小な歪みや寸法誤差が見つかった場合、製造プロセスの見直しや工具の再調整が行われます。このようなフィードバックループによって、製造品質が向上し、不良品の発生を防ぐことができます。


CMM測定の課題と今後の展望

CMM測定は精密で効率的ですが、いくつかの課題もあります。たとえば、CMMの測定時間は、非接触測定に比べて長くなる傾向があります。自動車部品の量産現場では、CMMの測定効率向上が求められており、複数部品の同時測定やプログラム最適化が進められています。また、AIやIoT技術を取り入れることで、測定結果をリアルタイムで解析し、即座に製造ラインに反映させるようなシステムの開発も期待されています。

CMMは、車部品の品質管理を支える重要なツールであり、今後もさらなる技術革新が続くでしょう。